鰻(うなぎ)を食べて切なくなって泣いた今日

今日は夕食に鰻が出た。

夕方に起きて2階の部屋でゴソゴソしていたら、下から母親の声がした。

「夕食の支度ができたから降りて来なさい」とのこと。

 

いつもは声なんてかけて来ないのに不思議だなと思って1階に降りてみると、テーブルには鰻重が置いてあった。

父親と母親と私の重箱が3つ。

それにお吸い物も。*1

 

久しぶりに顔を合わせた父親が、ぎこちない作り笑顔で私を席に促す。

私はそそくさと席に着くと、急に食欲が出て来て鰻をかっ喰らった。

鰻は私の大好物なのだ。

甘ダレが白米に馴染んでいて抜群に美味しい。*2

こんな美味しい夕食なんて何年ぶりだろう。

 

 

いつもは親の食事が終った後で、テーブルに置いてある自分のオカズをレンジでチンして2階に持って上がって食う。*3

こうやって親と一緒に食事をすることも久しぶりだ。

ちょっと気まずい空気もあったが、そんなもん鰻の美味しさで吹き飛んでしまった。

 

食事の合間に親父がポツポツ話しかけてくる。

塾を解雇になった後、私が無職のままで居ることを気にかけている風だった。*4

別に「働け!」的な説教ではなく、年齢的にこれからの私の人生について純粋に心配している様だった。

 

私は「うん」とか「まあ」とか適当な返事をしながら鰻を食べていたが、なんだか切ない気持ちになって来た。

私の正面に座っていた親父の頭は白髪になっていて、昔のような勢いがなくなっていた。

声も張りがなくなっていたなあ・・・。

 

親父はもう定年退職した年金暮らしの初老なのだ。

その年金で取り寄せてくれた鰻重を私はムシャムシャと呑気に食べている。

急に自分が情けなく思われて来て、居たたまれない気分になった。

やんわりと気を使いながら私の人生を案じてくれている両親に対しての罪悪感。

 

子供の頃から私に対して厳しい態度ばかりだった鬼の親父が、いつの間にか白髪頭で弱々しい老人になっているという現実。

その現実が重く私の背中に圧(の)し掛かってきた。

もう40代だというのに、未だに実家暮らしのニートで親に生活を見てもらっているという惨めなkz。

 

こんな私のためにワザワザ高い鰻重*5を取り寄せてくれた両親のやさしさが、かえって胸に刺さった。

「この怠け者、サッサと働かんか!」そう怒鳴られた方が気持ちは楽だったと思う。

 

鰻重を食べ終わると2階の部屋へ逃げるようにして上がって来たのだが、部屋の中に入った瞬間、我慢していたモノが両眼からあふれ出した。*6

 

俺はこれから一体どうなって行くのだろう?

いい歳した男が情けないと思われるかも知れないが、不安だけしかない。

親孝行どころか親不孝ばかりの、こんなkz息子ですまないと思ってる。

オヤジ、オフクロ、本当にすまない。

俺なりに足掻いてるんだが、全然うまく行かないんだ。*7

少なくとも犯罪とかだけはしないから安心して欲しい。

おそらく最後の最後になったら、自分できちんとケリをつけることになると思う。

それぐらいのことは覚悟している。

だから、今だけはしばしの休息をさせてくれ。*8

 

*1:近所の和食屋から出前をとったみたいだ。

*2:おそらく国産の鰻で、一人前3000円前後はしそうなものだった。

*3:親と会うと気まずいし、私は父親が苦手なのだ。

*4:親には悟られないようにしていたのだがバレていた。

*5:後で母親に尋ねたら、やはり一人前3500円(税別)の高級な鰻重だった。

*6:まるでドラマみたいだが、これは本当。

*7:根っからのプライドの高さや対人関係の下手な性格が災いして仕事に就けない。

*8:ニートのクセに何が「休息」かと訝(いぶか)しがる向きもあろうが、ニートでも心の葛藤や親との問題などでヘトヘトになるんです。